いまでこそあまり見ませんが、一時期、マスクを買うために朝から薬局やドラッグストアに並ぶ光景がありました。
大半の人はそれを冷ややかな目で見ていたわけですが、並んでいる人たちも、多くは自分の分だけではなく家族の分のマスクも購入する使命に燃えていた(あるいはこき使われていた)方々なので、それはそれで、大変ご苦労をなさっていたわけです。お疲れさまでした。
普通に考えると、そんな密集して並んでいる方が、コロナに感染するリスクが高いわけですが、それでも並ぶ人が絶えないのって、なぜでしょうか。
人は、思いのほか、目先の具体的なもののために、もっと大きな目標を見失いがちです。
一番達成したい目標が具体的であれば良いのですが、それが抽象的だったり難しかったりすると、その目標が達成しているかをより分かりやすくする指標を頼りするのが一般的です。
ビジネスの場面に置き換えてみるとわかりやすいですかね。たとえば、企業が、「お客様に喜んでいただく」ことを目標や戦略に据えたとき、それを達成できているかどうかの一つの目安として、お客様からのアンケートを指標にするような場合です。アンケート結果がよい部門にはインセンティブを出すなどもあり得ます。
それはそれで悪くはないのですが、この場合に、目標を見失わないように注意しないといけません。そうしないと、いつの間にか、アンケートによく書いてもらうことが目標にすり替わってしまって、アンケートの質問を良いことしか書けないように誘導的な内容に変えたり、集計方法を良いアンケートが集まりやすいように変えるなどの、不正が横行しがちです。
マスクを購入するために並ぶ方も、コロナに感染しないことが一番大事なのに、いつの間にかマスクを購入することにしか目がいかなくなっているということですね。
このような目標とその手段の取違い、本末転倒の結果が生じてしまう場合というのは、①目標が抽象的な場合や難しい場合、②逆に指標や手段がものすごく明快な場合に起きやすいと考えられます。
解決方法は、起きやすいということを理解して、気を付ければ良いだけです。
ちなみに、事務所でも経営理念を掲げていますが、そのほかに、目指すべき目標(所是)を作っています。「私たちは法律サービスを通じて“一人ひとり”の喜びを実現します。」というもので、より端的に「えがおでいよう。」と表現しています。
お会いしたときに笑顔だから良いというわけではもちろんなくて、今後の人生を笑顔で過ごしてほしいというわけです。そういう意味では、なかなか達成できているか難しいです。
つまらないギャグを言って笑顔にさせるといった取り違えをしないように、気を付けたいものです。
ではまた(^^)
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