新型コロナウイルスの影響も少し落ち着いてきたのか、街中も人が少しずつ増えてきたように思います。
それでも、スーパーでは人数規制があったり、飲食店もテイクアウトだけにしたりと、まだまだ平常運転に戻るには時間がかかりそうです。
飲食についていえば、出前館とかウーバーイーツとか、デリバリーが勢いを伸ばしていますね。ウーバーイーツで面白いのは、自転車で配達してくれている人が、いまどこにいて、どういうルートで来てくれているのかわかるところです。「あー、そこ通ってくるんだ」、「なるほどねー」、「いや、こっちのほうが近道なのに」というように、ゴハン以外にデリバリーという行為そのものをゲームのように楽しめる点が、面白いなと思うわけです。
こういった、本来の依頼とは違う、いわばオペレーションの裏側を見せることには意味があります。裏で進行中の作業を目にすると、サービスの提供により手間がかかっている、より高い価値のあるサービスを受けていると感じ傾向にあるからです。
逆に言うと、見えないサービスには価値を感じにくいということもいえます。銀行のATMは、24時間利用できるうえ、一瞬で顧客と口座情報を正確に確認し、個人情報を守りながら瞬時に取引を行います。でもそれは機械の中の作業なので、目には見えません。本当だったら、ATMの手数料が数百円で済むというのはすごく安いはずなのに、ATMの手数料が高いとみんな文句を言うのは、ATMがすごいサービスをやっているということが、目に見えないからです。
病院に行くと、10時に診察の予約をしたはずなのに、気が付くと11時過ぎまで待たされることだってあります。とてもくたびれますし、ストレスも溜まります。でも、これもそのドクターが前の患者さんを真剣に診ているからかもしれません。
ある実験では、一人ひとり個室で診察した場合よりも、他の人に見える場所で複数人を同時に診察した場合のほうが、患者の満足度は高かったそうです。個人情報の問題など、難しい点もありますが、裏側で何が起きているかが見えるというのは、それがポジティブな理由だったり納得できる理由であれば、満足度は高くなる傾向にあるということです。
もちろん、透明化というのは、良いことばかりではありません。みられることで仕事に集中できない場面もありますし、ネガティブな発見をされるリスクもあります。ただ、ネガティブな発見は、むしろそこからサービスの改善に結び付けることができますし、それがかえってサービスへの信頼を増す可能性にもつながります。
全てを透明化するということは難しくても、今まさにサービス提供のためにやってますよとアピールするのは(それがこれ見よがしだと逆効果かもしれませんが)、それなりに効果がありそうです。
交渉ごとにおいても、自分の手持ちのカードは相手にばれないように隠すべきだと考えられがちですが、実はほとんどの場合、隠さずに相手に伝えるほうがうまくいきます。これも思い込みによる典型的なバイアスです。
というわけで、これから法律相談の際には、知っていることでも、あえて目の前で六法全書を開くことで、仕事をしてるアピールをしてみようかなと。
本当は、知ってるんですよ。
ではまた(^^)
この記事へのコメントはありません。