コロナの影響で最近は出張も少なくなりましたが、だいたい月に1~2回は地方に出張しています。
出張では、新幹線や飛行機に乗る機会が多いですが、一度広い座席に座ると、その快適さは忘れられないですね。
それまで普通席でそんなに不便を感じてなかったのに、いちどグリーン車に乗ると、急に普通席が窮屈に感じてしまいます。世の中には知らないほうがよい世界もあるということでしょうか。
すべては相対的ということですかね。
グリーン車に乗ると座席のポケットにウエッジというビジネス誌が入っています。いつもパラパラと斜め読みをする程度なのですが、先日、面白い記事がありました。
「五輪を彩るテクノロジー」という記事で、毎回いろいろなアスリートまわりのテクノロジーの紹介をしているのですが、その回は「VRで脳を鍛える」というという回です。
「野球やソフトボール、ボクシングに柔道といった0.5秒以内が勝負の分かれ目となる競技の世界においては、自ら意識しての動きはプレーや技にほとんど役に立っておらず、脳が勝手に働いて判断を下しプレーをしている」ということで、これを「潜在脳機能」と呼ぶそうです。この潜在脳をVRで鍛えようというという取り組みが行われているそうです。
いわゆる「身体で覚える」ということのようですが、これはアスリートの世界だけではありません。
私たち弁護士の世界でも、証人尋問で不当な質問がなされたときに、反射的に「異議あり!」と言わないと、そのまま証言がされて裁判官の耳に入ってしまうとそれで勝負がついてしまう事もあります。
ビジネスの交渉の世界でも、反射的に反応できないことで、重要な交渉が流れてしまうこともあります。
でも反射力を鍛えたい理由はそれだけではありません。
交渉では慌てず落ち着くことが大事です。
反射神経は、反射的に動く場合だけではなく、とても重要な点ですが、反射的な行動・反射的な反応をしないように、その場でぐっと落ち着くためにも必要です。
人の身体は、動くことよりも動かないことのほうが体力を使います。その場で何も考えずに反射的に動いてしまうのではなく、脳をフル回転させて、動かないことを身体に覚えさせるということも、逆説的ですがとても大事です。
証人尋問のリハーサルをしない弁護士もけっこういるようですが、潜在脳を鍛えるという点からは、何回も何回も、やればやるほど、尋問はうまくいくような気がしてきました。
ビジネスの交渉が控えている方も、何回も何回も、事前にリハーサルをやることは、とても意味があるように思えます。
ただ、何人かいないと練習できないのがネックですね。
証人尋問のVRができればいいのになぁと思う今日この頃です。
ではまた(^^)
illusted by Pablo Peiker
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